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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは


睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。
呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するために目が覚めることがあります。
これを一晩中繰り返すため、深い睡眠がとれなくなり、睡眠不足の状態となります。症状としてはいびきや日中の強い眠気、だるさや就寝中に何度か起きてしまうなどの中途覚醒があります。
これらの症状により、仕事や勉強の作業効率の低下、交通事故などを引き起こすことがあります。ただの疲れだと見逃しがちですが、睡眠中に生じる無呼吸や低呼吸が頻繁に起こることで、心身にさまざまな影響を及ぼす睡眠異常のひとつです。
睡眠時無呼吸症候群は空気の通り道が狭くなってしまうせいで生じる『閉塞性無呼吸症候群』と、脳から呼吸をする指令が来なくなってしまうせいで生じる『中枢性睡眠時無呼吸症候群』の2種類があります。
睡眠時無呼吸症候群チェック
以下の7つの質問に全て答え、あてはまる項目の点数を合計してください。
1. | しょっちゅう(常習的に)いびきをかく | 1.5 |
---|---|---|
2. | 肥満傾向がある | 1.5 |
3. | 高血圧がある(高血圧の薬を飲んでいる) | 1.5 |
4. | 昼間の眠気・居眠りで困ることがある(仕事中、会議中、運転中など) | 1.5 |
5. | 寝付きは悪くないが、夜間の眠りが浅い。またはしばしば目が覚める(トイレで目が覚めるのも含む) | 1.0 |
6. | いくら寝ても朝疲れが取れていない感じがする、もしくは朝しばしば頭痛がある | 1.0 |
7. | お酒を飲んでいない日でも、夜間寝ている時に息が止まる日がある | 3.0 |

合計が3点以上の方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高いです。SAS診療が可能な医療機関で受診されることをお勧めします。
参照:OSASガイドブック
睡眠時無呼吸症候群の危険性

また、高血圧や心疾患などの生活習慣病とも関わりがあり、本人の生命を蝕むばかりか、 他の多くの生命を奪う悲惨な交通事故を起こす原因になります。 2003年の山陽新幹線運転士の居眠り事故でも明らかなように、 交通事故や労働災害など社会的影響の大きい悲劇を引き起こす危険性が隠れているのです。
原因

いびきは上気道の空気の通り道が狭くなることで起こりますが、睡眠時無呼吸症候群もこれと似たメカニズムです。気道を狭くさせる要因には、次のようなものもあります。
- 肥満による首部分の脂肪の増加
- 首が太くて短い人
- 舌の付け根や軟口蓋(鼻と喉の境の部分)の気道への落ち込み
- 小顎症(顎が小さい)、顎の後退
- 扁桃肥大
- 鼻の構造的な問題(鼻すじの彎曲、鼻が低い)
これまでは、「睡眠時無呼吸症候群=肥満の人がなるもの」と考えられてきましたが、 最近では肥満でなくても睡眠時無呼吸症候群になることが分かっています。 これには日本人特有の顔、特に顎の形が関係していると言われています。
「顎が小さい」とは欧米人のように下あごが前に出ておらず、むしろ後ろに引っ込んでいる方のことです。 実は、日本の睡眠時無呼吸症候群患者さんの約30%がこの顎が小さいことが原因によると言われています。 顎が小さい方はもともとの気道の面積が狭いために、ちょっとした体重増加でも無呼吸になる可能性があります。 最近では、食生活の変化で顎のラインがスマートな若い方が増え、小顔ブームとなってきましたが、 このような方は、特に体重増加には気をつけないと睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。
診断・検査
寝ている間の状態については身近な人やご家族などに指摘されたことを確認したり、患者さんご自身には、主に起きている時の状態について伺います。 起床時の頭痛の有無や昼間の眠気の程度、既往歴、鼻の状態などについて、また夜間のトイレの回数などについてもお尋ねします。
【簡易検査】

呼吸、酸素濃度などを記録する機械を自宅へ持ち帰り、口と鼻につける呼吸センサーと体内の酸素濃度を調べるセンサーを 指に取り付けて行う検査で、就寝時に装着し測定していただき、結果を医療機関で解析します。機械は翌日ご返却いただきます。 結果により、次の終夜睡眠ポリグラフ検査を行なっていただく場合もあります。
【終夜睡眠ポリグラフフィー(PSG)検査】

呼吸状態に加えて睡眠状態を総合的に調べる検査で、一泊入院(夕方入院し、翌朝退院)で行えます。 脳波、呼吸状態、動脈血酸素飽和度、体位、いびきなどの結果を総合的に判定します。
治療
睡眠時無呼吸症候群の治療には、CPAP治療(経鼻的持続陽圧呼吸療法)、マウスピースなどがあります。
【CPAP治療】

鼻に取り付けた専用マスクから、気道に空気を送り込み、気道を広げて呼吸の通りを確保する治療法です。 高い安全性も認められており、世界的にも普及している方法です。 医療機関から機器の貸し出しを受け、自宅で治療を行うことができます。
中等症以上の場合、健康保険の適用になります。 健康保険で治療を行う場合には、毎月の外来受診が必要になります。
【マウスピース】

睡眠時無呼吸症候群患者さん専用のマウスピースをつける治療法です。 いびき症や無呼吸の程度が軽度の場合に適用されるのが一般的です。 下あごが上あごよりも前に出るようにマウスピースで固定することで、気道を広くします。 この治療法は2004年から保険適用になっており、自分に合ったマウスピースを歯科で作ってもらいます。
いずみの病院では、簡易検査・終夜睡眠ポリグラフ検査とも実施が可能です。
検査の結果、治療が必要と診断された場合には、CPAP治療を行っています。
症状に心当たりのある方、まずはご自宅でできる簡易検査で、ご自身の睡眠の
状態を調べてみませんか。
内科 吉井和也