医療法人防治会 いずみの病院

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診療科・部門

もの忘れ外来

老化による緩やかな進行のもの忘れは心配ありません。脳や身体の病気が原因で起こるもの忘れはあきらかに速いペースで進むため治療が必要となります。

医療関係者の方へ

診療変更

  • 変更はありません。

外来診察担当表

 
午前
午後 楠木※1 藤澤※1

※1 予約診療

医師紹介

特定医療法人防治会理事長
もの忘れ外来担当医

楠木 司

(くすき つかさ)

資格

日本脳神経外科学会専門医/日本定位・機能神経外科学会機能的定位脳手術技術認知医/身体障害者指定医/医学博士/京都府立医大客員講師

当院での認知症に対する取り組み

診療を行っていて強く感じるのは、いまだに“認知症”に対する偏見が根強く残っているということです。 本人・家族共に、認知症になったらもうおしまい、はずかしい、かっこ悪いといった言動が多く聞かれます。 認知症の方は他者との信頼関係を新たに築いていくことが難しく、それゆえ家族が唯一の頼りどころとなるはずなのに、 その家族からあたかも見捨てられたかのように感じてしまうことも少なくないようです。
ところがご家族の方と話をしてみると決してそのような気持ちはなく、 本人がどう感じるかなどの心理的な流れなどには全く気を止めずに、 むしろ本当に心配をしての言動がかえって意思の行き違いにつながってしまっていることが少なくありません。 そしてどうしたらいいのかわからずに、本人・家族ともイライラがつのり、悪循環に陥ってしまうのです。
まずはご家族に認知症についての正しい知識を持っていただき、本人との接し方、 具体的なケースにおいての対応の仕方などを学んでいただくことが大切だと考えます。
さらに、認知症の方に骨折や脳梗塞が生じてリハビリが必要になった場合、 理解力の問題などからリハビリがうまく進まないという問題があります。 そこで、医師・看護師・リハビリ療法士、さらには在宅支援や老健施設などの連携を深め、 患者さまやご家族をサポートできるよう、 研修や研究会を継続して行い、それぞれが知識を高める努力を続けています。

藤澤豊

神経内科部長
もの忘れ外来担当医

藤澤 豊

(ふじさわ ゆたか)

資格

医学博士/身体障害者指定医

脳をみる内科です

「神経内科」と聞くと、うつ病や統合失調症をはじめとした「精神疾患」を扱う科、 「精神科」や「心療内科」とは、異なります。ある病気に対して、 内服薬や点滴のみで治療するのが内科、メスを用い手術で治療するのが外科であり、 それぞれ、お腹のことは「消化器内科」と「消化器外科」、心臓のことは 「循環器内科」と「心臓(血管)外科」、肺のことは「呼吸器内科」と「呼吸器外科」 といった関係になります。「神経内科」に対応するのは「脳神経外科」であり、 頭(脳神経)をみる内科ということになります。脳のことでお悩みの時には「神経内科」にご相談ください。

もの忘れとは

最近は家族が一緒の生活が難しくなってきており、独り暮らし、あるいは老夫婦だけでの生活で刺激が少ないため、 認知も増えてきています。 認知がすすみ、施設に入らなくてはならなくなった方の半分は、早めの治療や環境の整備、家族の協力があれば、本来在宅で生活できる方です。脳を刺激する一番よい方法は会話です。「すぐ忘れるので会話にならない」と言わず、昔話からでよいので、家庭での会話を心掛けて下さい。

もの忘れは仕方がない・・・?

確かに、もの忘れは誰でも高齢になれば出てきます。 人の脳細胞は20才ごろをピークに減り始め、75才ごろには90%ぐらいになります。 ですから、もの忘れも老化現象による緩やかな発生は心配ありません。 ところが、認知と呼ばれる脳や身体の病気が原因で起こるものは、その進行があきらかに早いペースで進み治療が必要です。認知には、脳梗塞や脳内出血により症状が急激に発症、悪化していく脳血管性認知症と、 脳に進行的な萎縮がみられ、それに伴い症状が進行していくアルツハイマー型認知症などがあり、 日本人の認知の90%はこの2つによるものです。

もの忘れチェック

次の10項目でもの忘れチェックしてみてください。

  1. 同じことを何度も言ったり、尋ねたりする
  2. 置き忘れやしまい忘れが目立つ
  3. 人の名前が思い出せない
  4. 理由もないのに気がふさぐことがある
  5. 漢字を忘れる
  6. 物の名前が出てこなくなった
  7. これからしようとする事を忘れる
  8. 判断するのに時間がかかる
  9. 新しいことがなかなか覚えられない
  10. 外出がおっくうになる

採点方法
よくある:2点 たまにある:1点 ほとんどない:0点

合計点数
0~6点:正常 7~12点:要注意
13点以上:一度受診されることをお勧めします

診察

診察は、まず聞き取りから始めます。ご本人と周りの方の言っていることをそれぞれ別々にお聞きし、くい違い等をみて行きます。ですから最初は必ず、身近な方と一緒に来て頂くようにしています。

次にご本人の感覚の崩れというものを調べます。時間と場所をお聞きしたり、今日の昼食をお聞きし短期間の記憶力を調べたりします。また、昔のことをお聞きすることもあります。

受診の動機として、ご本人が「最近もの忘れがひどい」といって来られるケースと、「言うことがおかしい」「同じ事を繰り返して言う」などで周りの方が連れてこられるケースがあります。受診される方の約3割は、老化によるもの忘れや気のせいという方です。

その他の検査

まず、MMSという聞き取りテスト形式の検査をします。これにより簡単な認知機能の状況がわかり、アルツハイマー型であるとか、脳血管性であるとかも、ある程度わかります。

MRI検査では、頭の中の病気のチェックや脳の萎縮の有無、程度、場所等を調べます。原因によっては外科的手術により改善する認知症もあります。

そして血液検査により、全身の状態をみて他の病気がないか、それによって引き起こされているのではないかを調べます。

さらに必要に応じて、脳血流検査や頭の中のそれぞれの部位の働きを調べる脳波検査等をおこないます。

治療

治療法は原因や症状によって違います。

アルツハイマーや脳梗塞、甲状腺の機能低下などの内科的原因の場合は、薬を内服しリハビリによって脳に刺激を与えるよう生活指導を行ないます。

また、原因によっては手術を施すことがあります。

いずれも原因が一つだけでなく複合していることもありますので、それぞれのケースによって治療法は異なってきます。

認知は適切な治療を行なえば治ることが可能な場合と、治ることが難しくてもその進行を遅らせることが可能な場合があります。