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パーキンソン病に対するiPS細胞移植治療について

2019/01/04 7階多目的ホール 第96回脳と神経の勉強会

第96回脳と神経の勉強会のようす

安全性クローン問題

 パーキンソン病に対する細胞移植治療の目的は、ドパミンをつくりだす細胞の再生です。

 国外では中絶胎児の細胞移植が行われましたが、日本では倫理的観点から遂行は困難。患者さん自身の細胞移植も検討・試行されましたが、死亡例の報告や予想したほどの効果が得られなかったことから衰退していきました。その後、PC12細胞やES細胞など人工的に作り出した細胞を用いた研究が進められましたが、安全面や拒絶反応の可能性、倫理的問題などがあり現在は行われていません。

 パーキンソン病に対する治療では、iPS細胞からつくったドパミン産生細胞の移植治療の研究が進んでいます。京都大学では2018年10月に1例目の移植手術が行われ、計7人の患者への移植治療が計画されています。手術後は2年にわたり経過観察が行われるため、治療法として認可され保険適用になるまでは早くても3年はかかるでしょう。また、ドパミンが減少しきっていない早い段階での治療開始が求められるなど、適応となる患者はある程度限定される可能性があります。

iPS細胞ドクター疑問
iPS細胞を使ったパーキンソン病治療のイメージ


iPS細胞を使ったパーキンソン病治療のイメージ

 

脳神経センター長・パーキンソン病外来担当医 清家 真人

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