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「介護サービスが利用できます」「摂る脂質は良質なものを。」

2016/2/24 7階多目的ホール 第45回糖尿病勉強会


糖尿病合併症で自立した日常生活を送ることが
困難な場合には介護サービスが利用できます

医療相談室 森木 咲里


介護保険とは

介護保険制度とは、高齢化や核家族化など家族をめぐる状況の変化により、 介護を社会全体で支え合う仕組みとして2000年に創設された制度。 対象は、65歳以上の高齢者または40〜64歳の医療保険加入者で特定疾病が原因で支援や介助が必要になった方です。 介護保険サービスには、介護予防・居宅・施設・地域密着型の4つの種類があり、 利用するには要介護認定を受ける必要があります。

介護保険の対象者
第一号被保険者
65歳以上の高齢者
第二号被保険者
40〜64歳の方で医療保険に加入している方
且つ、特定疾病(加齢に伴う病気)が原因で、支援や介護が必要になった方
【特定疾患】
ガン末期、関節リウマチ、筋委縮性側索硬化症、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、 多系統委縮症、初老期における認知症、脊髄小脳変性、脊柱管狭窄症、早老症、 糖尿病性神経障害、糖尿病腎症及び糖尿病性網膜症、 脳血管疾患、パーキンソン病関連疾患、閉塞性動脈骨化症、慢性閉塞性肺疾患、 両側の膝関節症または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
糖尿病合併症は介護保険対象疾病
利用できる介護保険サービスの例

【利用できる介護保険サービスの例】
訪問看護・訪問介護・デイサービス・
デイケア・住宅改修・福祉用具購入やが
レンタルなどのサービス受けられます。

糖尿病の3大合併症である糖尿病性神経障害、糖尿病腎症、糖尿病性網膜症は、介護保険の対象となる特定疾病に含まれます。 合併症が進行すると歩行困難や視力低下、下肢切断や失明に至ることがあり、自立した生活が困難な場合には、 要介護認定を受け介護保険サービスを利用することができます。

お気軽にご相談ください

まずは、生活上でどんなことに困っているのか、何をしてほしいのか、お困りの内容をご相談ください。 必要なサービスのご提案、介護保険申請、ケアマネージャーの選定、配食サービスなど保険外サービスのご紹介など、 すべて無料で承っております。 1階売店横の医療相談室までお気軽にお越しください。


カロリー摂取量に気をつけたい
糖尿病患者さんだからこそ摂る脂質は良質なものを。

管理栄養士 吉良 淑子


糖尿病と脂質
栄養素が血糖に変わる割合と速度

【栄養素が血糖に変わる割合と速度】
「糖尿病教室パーフェクトガイド」
(Life with Diabetes,アメリカ糖尿病学会,1977年)より作成

油脂類は必須脂肪酸の供給源として大切なものですが、カロリーが高く、 少し摂るだけでカロリーオーバーになる可能性が高くなります。 調理に使う油は、計量スプーンなどで計って使う習慣をつけましょう。

しかし、脂質は炭水化物やタンパク質と比べ、ブドウ糖への変化率が低く速度も緩やかで【右グラフ】、 血糖値への影響はそれほど大きくありません。


体に良い脂肪を摂りましょう

脂肪は不飽和度により下表のように分類されます。 種類によっては動脈硬化を進行させる、循環器疾患の発症リスクを高めるなど悪い影響の出るものがあるため、 種類や量に気をつけて摂りましょう。

不飽和度による脂肪の分類と身体への影響
不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 n-9系脂肪酸(オレイン酸) オリーブオイル・キャノーラ油・ナッツ類 など 悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールは下げない。 動脈硬化の進行を予防する。
多価不飽和脂肪酸 n-3系脂肪酸(α-リノレン酸・EPA・DHA) シソ油・魚類 など 血中の中性脂肪を下げる、血栓の生成や不整脈を防ぐなどの生活習慣病を予防する。 免疫機能を整える作用がある。
n-6系脂肪酸(リノール酸) マヨネーズ・マーガリン・ベニバナ油・コーンサラダ油・大豆油・ひまわり油 など 悪玉コレステロールを減らすが、摂りすぎると善玉コレステロールまで減らしてしまう。 動脈硬化を進行させる。アレルギー症状を悪化させる。
飽和脂肪酸   肉・乳製品 など 悪玉コレステロールを上げ、善玉コレステロールは変化させないかやや上げる。 摂取量の多い人では、心筋梗塞の死亡率が上がる。

油料理をする場合は植物油を使いましょう。 中でも加熱に強く利用しやすいオリーブオイルはおすすめ。 EPA・DHAはサプリメントで摂る方もいらっしゃいますが、できるだけ多く含む魚類から摂りましょう。 1日1回は食べたいものです。 適量の肉や乳製品は、動脈硬化予防のためには必要です。 肉は脂身の少ない部分を食べるようにしましょう。

いくつか注意点はありますが、考えすぎると分からなくなってしまいます。 必要以上に気にせず、いろいろな食品を偏りなく食べてバランスを整えるよう心がけましょう。


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