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認知症高齢者と医療の関わり

2014/07/04 7階多目的ホール 第42回脳と神経の勉強会

第42回脳と神経の勉強会のようす

認知症患者の現状と未来予測

認知症を有する高齢者の割合

認知症を有する高齢者の割合

高齢者の年齢段階別認知症出現率
厚生労働省研究班推計(2013)

認知症を有する高齢者の将来推計数

認知症を有する高齢者の将来推計数

*%は65歳以上の高齢者人口に対する割合
厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立度」
U以上の高齢者数について(2012年8月24日公表)

65歳以上の高齢者のうち、認知症の人の割合は15%・約462万人、 認知症になる可能性がある軽度認知障害の人の割合は13%・約400万人(2012年推計・厚生労働省)。 高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍となる計算です。 今後さらに進む高齢化で、その数が増えることは容易に想像できるでしょう。

これらの推計から見えるのは、認知症は他人事ではないということです。 家族や自分自身が発症する可能性は決して低くはありません。 もはや、認知症を恥ずかしがる時代ではないのです。

認知症高齢者が直面する
治療上の問題

病気にかかりやすく、症状も重くなりやすい高齢者。 認知症を有する高齢者が病気になって治療を受けられる際、場面によってさまざまな問題が浮き彫りになります。

まずは病気の治療が最優先。 しかし、本人の理解と安静が得られるかが問題です。 治療の効果と危険性のバランスを考慮する必要があるでしょう。

その後は、機能回復・維持のためのリハビリが重要に。 しかし、高齢者は症状が重く合併症の危険性が高くなりやすい上、 認知症の方は物事に無関心となり意欲が低下する方が多く、リハビリの継続が問題となります。 また、リハビリを受けられる期間の上限が若年者と同等となる、 現行の医療制度についても今後改定が検討されるべきでしょう。

そして、在宅を含めた退院の可能性を模索します。 その判断の基準となるのは、ご本人の状態とご家族の介護力。 幻覚・妄想・徘徊などへの対応、家族による観察・介護、将来の方針などを考慮して、 自宅・施設・病院など退院先を検討します。 このとき問題になるのは、家族の負担。 患者への想いと現実の間で家族は悩みます。

適切な治療、リハビリ、福祉の提案・相談などできる限りの支援で、ご本人・ご家族を支えたいと考えています。

特定医療法人防治会 理事長・脳神経外科・もの忘れ外来担当医 楠木 司

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