トップ > 病気の知識 >  過去の勉強会一覧 > 高血圧・糖尿病・高脂血症と脳の病気

高血圧・糖尿病・高脂血症と脳の病気

2014/06/06 7階多目的ホール 第41回脳と神経の勉強会

第41回脳と神経の勉強会のようす

高血圧・糖尿病・高脂血症で
脳卒中発症率と危険度がアップ

高血圧は、脳出血・脳梗塞に共通する最大の危険因子です。 血圧が高いほど脳卒中発症率や死亡危険度は高くなります【図1】。 脳卒中発症率は、拡張期血圧(下の血圧)を5〜6mmHg下げると42%、 高齢者の収縮期血圧(上の血圧)を治療することで30%減少するという調査結果があります。 脳卒中予防には血圧管理が最も重要と言えるでしょう。

【図1】収縮期血圧の分類と脳卒中死亡相対危険度(男性)

【図1】収縮期血圧の分類と脳卒中死亡相対危険度(男性)

血圧値の分類は日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」より作成。
危険度は厚生労働省循環器疾患基礎調査対象1万人の14年間の追跡調査。


【図2】糖尿病の病型別脳梗塞の発症リスク

【図2】糖尿病の病型別脳梗塞の発症リスク

出典:多目的コホート研究「JPHC Study」

糖尿病の人では、ラクナ脳梗塞(細い血管が詰まって起こる)、 アテローム性脳梗塞(太い血管が狭まったり血栓が詰まって起こる)、 塞栓性脳梗塞(心臓にできた血栓が移動し脳の血管に詰まって起こる)の いずれの種類の脳梗塞も発症危険度が高くなります【図2】。 良好な血糖・血圧管理で血管障害は減少します。


また、コレステロール値が高くなるほど脳梗塞の危険度が高くなるという調査結果があります。 脳梗塞患者への調査によると脳梗塞は、総コレステロール値が38.7mg/dl増えると25%増加。 総コレステロール240mg/dl以上・LDLコレステロール(悪玉)160mg/dl以上・中性脂肪150mg/dl以上で 増加するというデータもあります。 HDLコレステロール(善玉)40 mg/dl以下の場合も危険因子となります。

定期的な検査で発症予防

高血圧・糖尿病・高脂血症と肥満は“死の四重奏”と言われ、 これらが重なれば、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気を急速に招きます。

これら危険因子をもつ方は、頭部MRI検査をできれば年1回、 頸動脈エコー検査を何か病変があれば年1回、なければ2〜3年に1回は受けられることをお勧めします。

脳神経センター長・脳神経外科部長・パーキンソン病外来担当医 清家 真人

▲ ページの先頭へ