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高血圧症

血圧とは

チャート「血圧値の分類」

血圧値の分類

日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン 2014

血圧とは、血液が流れるとき血管の内壁にかかる圧力のこと。 心臓が縮んで全身に血液を送りこむときにかかる力を収縮期血圧(最高血圧、上の血圧)、 心臓が拡張して血液が心臓に戻るときにかかる力を拡張期血圧(最低血圧、下の血圧)といいます。

同じ人でも測定するときの体調や時間帯、場所、季節などによって血圧は異なります。 また、年齢や性別、もっている疾患や服用している薬など、人によっても異なりますので、単純に人と比較することはできません。

高血圧の判断基準は?

日本高血圧学会は高血圧治療ガイドライン2014で、血圧を上図のように区分しています。 しかし、この区分はあくまでも標準的な指針であり、 個々の患者の診断や目標血圧値の決定は実際の治療にあたる医師の判断に委ねられます。

血圧は収縮期血圧と拡張期血圧の値によって分類され、 収縮期血圧が140mmHg以上かつ拡張期血圧が90mmHg以上のとき、高血圧と診断されます。 さらに、重症度によって上図のように3つに分類されます。

症状

高血圧症の症状の例

高血圧には明確な自覚症状がありません。 動悸や胸痛、呼吸困難、むくみなどがある場合は、かなり重い高血圧の可能性があるため注意が必要です。 また、症状がないからといって血圧が高い状態を放置すると、長期にわたって血管に負担がかかり、 さまざまな悪影響や疾患を引き起こす要因となります。 高血圧の方は、血圧が高いほど心臓や脳の血管に障害が起こり、 心筋梗塞や脳卒中などの疾患を引き起こす可能性が高くなることが分かっています。 定期的に血圧を測定し、ご自分の状態を把握しておきましょう。

原因と分類

高血圧症は原因により以下の2つに分類されます。

本態性高血圧
さまざまな要因が重なり血圧が上昇するもの
症候性(二次性)高血圧症
腎臓・副腎・大動脈などの疾患の影響により血圧が上昇するもの

他の疾患が原因となっている場合には、原因疾患の治療が不可欠です。

その他、血圧を上昇させる要因となるものには、塩分の摂りすぎ、アルコール摂取、喫煙、 肥満や運動不足、過労や睡眠不足、遺伝などがあげられます。 日本人の高血圧の場合は、本態性高血圧が圧倒的に多く、8〜9割を占めるといわれています。

治療

軽い運動を心がけましょう
  • なるべく歩くようにしましょう
    会話ができるくらいの速度の早足散歩を
    毎日約30分
  • 水泳、軽いジョギング、サイクリングなど、
    長続きする運動を選びましょう
  • 週3回くらいは運動の機会をつくりましょう
  • 脈拍が1分間に120拍を超えるような激しい
    運動は避けましょう

治療はまず、生活習慣の改善です。 塩分・アルコール摂取を控え、できれば禁煙をめざしましょう。

それでも改善しない場合や重症の場合は内服治療を行います。

また、急な温度変化は急な血圧変化をもたらし危険です。 冬場の入浴や外出などは特に注意が必要です。 屋内の温度はできるだけ一定にする、上着を羽織るなど温度変化を緩やかにする工夫を。

改善の目標とする血圧は、一般的には収縮期血圧が140mmHg以下かつ拡張期血圧が90mmHg以下ですが、 もっている疾患や年齢、性別などによって異なります。 医師との二人三脚で、焦らずじっくりと治療に臨んでいただきたいと思います。


循環器科 中村隆澄

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