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大腸がん

平成25年の死亡原因の1位は男女とも悪性新生物(悪性腫瘍)で、同年の全死亡者の28.8%を占め、 3.5人に1人が悪性新生物で亡くなったことになります。 部位別では、男女とも大腸がんでの死亡者数の上昇傾向が続いており、 部位別悪性新生物の死亡者数順位で、男性の3位、女性では1位となっています (厚生労働省「平成 25年人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)。

しかし、大腸がんは決して完治しにくい病気ではありません。 早期発見、早期治療を行えば、高い確率で完治できるのです。

大腸の位置    大腸の5つの部位

左図:大腸は、消化器の中で最も肛門の近くに位置する、
全長1.5〜2mほどの管状の臓器。

右図:大腸は、5つの部位に分類されます。日本人では
S字結腸・直腸にがんができやすいと言われています。

大腸がんとは?
その原因・症状は?

大腸は、全長1.5〜2mほどの管状の消化器。 小腸が消化吸収した後の食物の残りかすである腸内容物から残りの栄養分と水分を吸収して固形化、 便として排泄する役割を担っています。 大腸は、小腸から続く右脇腹下部から上に向かう上行結腸、続いて横に向かう横行結腸、下に向かう下行結腸、 S字状に曲がるS字結腸、まっすぐ下に向かう直腸の5つの部位に分けられます。

大腸がんは、大腸の内側の表面(粘膜)にできる悪性腫瘍で、日本人ではS字結腸と直腸にできやすいと言われています。


大腸がんの原因   

欧米化した食習慣、喫煙、肥満などが
発症原因になると言われています。

高脂肪で食物繊維が少ないといった食習慣の欧米化が大きな原因の一つと言われています。 肥満や喫煙が発症の危険性を高めることも分かっています。 直系の親族に大腸がんにかかったことがある人がいる場合、大腸がんになる可能性が高くなります。


早期では自覚症状がありません。 ある程度進行すると、血便が出る、便秘と下痢を繰り返す、便が細くなるなどの排便変化、 腹痛、腹部の張り・しこりなどの腹部の変化、その他、貧血や嘔吐、急激な体重減少などの症状が現れます。 がんができる部位によっては進行しても症状が分かりにくいため、 自覚したときにはかなり進行した状態であることもあります。 症状がないうちに発見することが重要となります。


検査は?

便潜血検査キット
大腸内視鏡検査機器

上:便潜血検査キット

下:大腸内視鏡検査機器

がんやポリープなど大腸に何らかの病変があると大腸内に出血することがあるため、 便潜血検査で便に血液が含まれていないかを調べます。 便の表面をこすり取って提出するだけの、簡単な検査です。 痔や炎症など他の良性疾患でも出血する場合があるため、陽性でも大腸がんであるとは限らず、 逆に陰性でも病変から常に出血しているとは限らないため絶対に大腸がんではないと断定できるものではありません。

便潜血検査で陽性となった場合には、さらに詳しい検査を受ける必要があります。 その場合実施されるのが、大腸内視鏡検査です。 大腸内に内視鏡カメラを入れ、異常がないか観察します。 高い精度で診断でき、その場で病変を切除したり検査のための細胞を採取したりできるのがメリットですが、 まれにカメラで腸内を傷つける、穴を開けるなどの事故が発生する可能性があります。 検査前夜からの絶食、下剤の服用が必要です。

その他に、肛門から指を入れて直接直腸を触って異常がないかを調べる直腸診、 バリウムと空気を肛門から注入して大腸をレントゲン撮影する注腸造影検査、 炭酸ガスを肛門から注入して大腸を膨らませ撮影する大腸CT検査などがあります。


治療は?

内視鏡(腹腔鏡)手術

内視鏡(腹腔鏡)手術

大腸がんの治療は、進行度などによって適切な方法を選択します。

大腸がんの切除術は、内視鏡(腹腔鏡)手術が主流です。 内視鏡カメラの映像を見ながら、病変を切除します。 腹部に小さな穴を開けて手術するため、患者さんへの負担が少なく、入院期間も短いのがメリットです。 内視鏡手術での切除が難しい場合には、開腹手術を行います。 他に、抗がん剤治療放射線治療などがあります。 どの治療を選択し、どのように組み合わせて行うかは、患者さんの状態や進行度などによって決定します。

予防・早期発見に努めましょう

国立がんセンターは6月、大腸がんや肺がんによる75歳未満の死亡率減少が鈍化していると発表。 がん検診受診率が50%に至っていないこと、適正な治療の実施割合が伸び悩んでいること、 喫煙率が下げ止まっていることなどが影響しているとみています。

大腸がんは早期であれば完治が可能です。 しかし前述の通り、早期では自覚症状がなく、症状が現れてからでは治療が難しくなることも。 だからこそ、定期的な検診の受診で早期に発見することが大切です。

大腸がん検診は、市町村が住民を対象に実施しています。 高知市では、40歳以上の住民であれば年度中に1回無料で受けることができます。 当院も高知市の大腸がん検診実施医療機関の一つです。 早期発見のため、定期的に検診を受けましょう。

また、予防のためにも食習慣を見直し、禁煙を。 肥満の解消を心がけ、運動不足の方は積極的に体を動かす努力をしましょう。

外科 長田裕典

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