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インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセントの誤解
インフォームド・コンセントという言葉が日本に紹介されて久しくなりますが、いまだに誤解されて使われることがあります。
インフォームド・コンセントは、直訳すると「説明の上での同意」で、1970年代後半、アメリカで生まれた考え方です。
根本には、患者さんの自己決定権の考え方があるのですが、
日本では往々にして手術などの際の単なる手続き上の義務として理解される傾向があるようです。
だから、「患者の承諾書を取ったから説明義務を果たした」とか、「いや、説明以外の事故が起きたから告知義務違反だ」とか、
もっぱら医療訴訟とひとつながりのイメージで語られがちです。
しかし、インフォームド・コンセントが本当に目指しているのは、そういうことではありません。
最優先されるのは患者さまの意思
インフォームド・コンセントは、医師が法律上のトラブルを避けるための手続き上の概念ではありません。
患者さまにとって治療上の最善の選択を行うためのプロセスについての考え方なのです。
その背景には、患者さまの自己決定権の尊重があります。
患者さまには、ご自分の人生観と目標に基づき、主体性をもって治療方法を決める権利があります。
だから、医師は、その選択を助けるために情報を提供し、患者さまの意思確認を行った上で治療を行います。
「説明の上での同意」の真意はそこにあります。
最近は、“同意”よりさらに患者さまの主体性を強調するために、インフォームド・チョイス(説明と選択)とか、
シェアド・デシジョン(医師と患者による意思決定の共有)という言葉が提唱されています。
説明と納得そして同意と選択
インフォームド・コンセントは二つの段階を経て行なわれます。
第一段階は、医師から患者さまへ医学的な判断に基づいて治療方法やメニュー提示などの十分な情報提供がなされます。
その説明は極力専門用語を用いず、懇切丁寧に行ないます。
・病名と症状を診断の正確な内容で伝えます。
・治療の目的と方法を説明します。
・その治療方法による患者さまの利益と不利益、そして成功の可能性を説明します。
・他の選択肢を提示し、それぞれと比較をします。
・それらが行なわれなかった場合に、疾病の将来予測をします。
第二段階は、患者さまの理解、納得、そして同意と選択です。
この段階では、患者さまご本人の意思が最大限尊重されるべきであり、
患者さまに医療内容等の選択を迫ることが本来の趣旨ではありません。
ですから、医師が説明するやいなや、「さあ、どうするか答えなさい」と選択を迫るのは、
特にデリケートな治療法の場合、適切とはいえないでしょう。
一刻を争うような状況でない限り、患者さまにはじっくり時間をかけて考えたり、
他の医師にセカンド・オピニオンを求めたりする権利があります。
何しろ、ご自分の身体なのですから……。
当院におけるインフォームド・コンセント推進の取り組み
これまで述べてきたように、インフォームド・コンセントで大事なのは、患者さま自身の主体性です。
そして、主体性を発揮するにはコツがあります。
そのコツを、「ささえあい医療人権センターCOML」というNPOは右の10箇条にまとめています。
当院では、この10箇条を外来待合室に掲示して、患者さまに医療の主人公としての自覚を高めていただくようにしています。
また、患者さまが医師に何度でも質問するのに遠慮しなくて良いように、「患者さまの質問には快くお答えします」などと、
待合室に置いている小冊子「患者さまへのお約束」で8項目にわたって約束しています。
その他にも、「私のカルテ」という手帳を販売(\100)して、患者さまがご自身で診療情報を管理するのに利用していただいたり、
1階喫茶コ−ナーにビデオ・図書コーナー「ゆうゆう」を設けて、
病気についての患者さまの自己学習をお手伝いしたりと、様々な取り組みを行なっています。
どうぞご利用ください。
(診療部長 吉井 和也)