
脳深部刺激でパーキンソン病治療 高知市の民間病院
高知市薊野の「いずみの病院」(夕部富三院長)が昨年秋からパーキンソン病の症状抑制治療「脳深部刺激療法」(DBS)を導入し、成果を上げている。DBSを行う病院は四国内でも少ないが、同病院は高性能の最新機器を導入し、より安全で正確に問題部位を特定する点が特長。手術の結果、大半の患者の症状が緩和されているという。
DBSは太さ約一ミリのリード線を頭がい内に挿入し、症状の原因となる異常な電気信号を出す神経細胞に電気刺激を与える治療法。症状を抑える仕組みは完全には明らかになっていないが、問題の神経細胞から信号が伝達されるのを妨害していると考えられる。
挿入手術の後、治療効果を一週間、確認し、パルス発信器を胸の皮下に埋める。入院期間は約三週間。
DBSは根治治療ではないが、リード線先端のプラス・マイナス極の入れ替えや電流・電圧の強さなどの調節で病態の進行に対応できるほか、細いリード線を使うため脳への影響も少ない。
同病院のDBSは最新機器を使った挿入部位の特定が特長。多くの病院は脳室に造影剤を投与し、レントゲン撮影で特定するが、同病院は脳室造影をせず、MRI(磁気共鳴診断装置)のデータを自動的に読み込み、大まかな場所を指定する機器を使用。異常な信号を発する神経細胞を探す別の機器で、挿入部位を正確に特定する。
県内でDBSを行う病院は同病院と高知医大付属病院があるが、これまでに医大病院の三倍近い十例の手術を実施。九例で手の震えやこわばりなどが緩和されているという。
年百例以上を手掛ける福岡市・貝塚病院の島史雄医師は「パーキンソン病は六十五歳を境に有病率が七倍に高まる。高齢化率の高い高知県で高度先進医療が受けられるのは喜ばしい」と期待。
いずみの病院脳神経外科の清家真人部長は「症状の抑制は服薬が主流だが、副作用に悩む患者も多い。DBSが最新機器の導入でより安全、確実に行えるようになったことで、患者の選択肢が増えるのではないか」と話している。
パーキンソン病 厚生労働省が指定する難病(特定疾患)の一つで、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」の分泌が減り、手足を動かすための神経伝達がうまく行われなくなる進行性疾患。単独で死には至らないが、手足の震えやこわばり、歩行障害が出るほか、最重症患者はほぼ寝たきり状態になる。発症は五十―六十歳代が中心だが、二十歳代で発症するケースも。一般的に人口十万人当たり百人前後の患者がいるとされるが、六十五歳以上は同約七百人に激増。高齢化地域ほど患者が多いといわれる。
【写真】リード線とパルス発信器を手にDBSを説明する清家脳神経外科部長(高知市のいずみの病院)